ドライバーとアイアンは本当に同じスイングで良いのか?

ドライバーとアイアンは同じスイングで良いのか?という疑問は、ゴルフをある程度経験された方であれば、一度は感じる疑問であると思います。

ゴルフを始めた頃は、最初に受けたレッスンや読んだレッスン書が基本になりますから、スイングが同じか異なるかに関わらず、知識を得た内容をそのまま信じてスイングします。

これで結果が出続ければ問題はないのですが、時々飛び出すスライスやフックに悩んで、色々なレッスン書や動画を参考にするようになると、今までとは正反対の理論と出会う事になります。

半信半疑で違う理論でスイングをしてみますが、上手く打てる時もあれば、そうでない時もあって、結局は「どちらが正しいがわからないまま結論が出せない」という方が多いのではないでしょうか?

この「ドライバーとアイアンでスイングは同じか?異なるか?」というテーマは、プロの間でも意見を二分するテーマですから、色々なレッスン書や動画を参考すればするほど「結局どっちなの?」という事になってしまいます。

そこで今回は、このテーマについて私なりに考察した事について書きたいと思います。

まずはアイアンのレッスンを受けます

多くのレッスン書やゴルフスクールでは、まずはアイアンの打ち方からレッスンを始めます。

その時に、スイングについて教えてもらうのが、以下のような内容であると思います。

・ボールは身体の正面に置く。
・スイング軌道はインサイドイン。
・スイングの最下点はボールの真下か、やや左側。

一昔前は「スイングはダウンブローで」と教えていたそうですが、最近ではアイアンが進化してレベルブローで打っても全く問題がないので、このようにレッスンする事が多いようです。

こうやって練習を重ねて、ある程度アイアンが打てるようになれば、次のレッスンです。

次はドライバーのレッスン

アイアンの次はドライバーのレッスンを受けます。

そのレッスンは「ドライバーとアイアンは同じスイングである」という理論に基づいたものです。

その際に、スイングについて教えてもらうのが、以下のような内容であると思います。

・ドライバーとアイアンのスイングは同じです。
・ボールは左足かかと線上に置いて、ティーアップをします。
・スタンスはクラブが長い分、幅を若干広めでも構いません。

レッスン通りにオレンジのカラーボールを置いた状態を図にすると、以下のようになります。

そして、このままアイアンと同じスイング軌道で打ちますが、ボールは高く上がってスライスすることがほとんどで、ごくまれに当たりどころが悪くて、低く左に飛び出してドロップするような球が出ることが有ります。

身体の左側にあるボールをアイアンと同じ軌道打てば、上から見ればアウトサイドインになって、横から見ればボールの下を叩く、ダルマ落としのような軌道になるからです。

もし、あなたのドライバーがそんなボールばかりなら、運動神経抜群の大変優秀な生徒です。

レッスンの内容を全て忠実に再現できています。

但し、結果が伴っていない事については問題がありますので、改善が必要です。

ドライバーをまっすぐ打つには?

身体の中心から左側に置いたティーアップされた球を、まっすぐアッパーブローに打つためには、青のアイアンの軌道と異なるオレンジ色のような軌道が必要です。

インサイドインで打つために、上から見たスイングの弧の頂点を、体の中心より左側に移動させる必要がある上に、横から見た弧はティーアップされている分、クラブを浮かせる必要があります。

すなわち、まっすぐ飛ばそうとするので有れば、ドライバーとアイアンでスイングを変えなければなりません。

このままでは「ドライバーとアイアンは同じスイング」というのは「ウソを教えている」という事になってしまいますね?

しかし、理論では「同じスイング」が正しいそうです。

それでも同じスイングだ!

「ドライバーとアイアンは同じスイングである」という理論のルーツをたどると、ベン・ホーガンのスタンス理論を基に派生したものが多いようです。

代表的な例として、ベン・ホーガンのモダンゴルフに掲載されている、ボール位置とスタンスに基づいた、あるスイング理論を紹介します。

まず、ベン・ホーガンのモダンゴルフでのスタンス理論では、図の左側の様に、

・ボールは左足かかと内側の線上に置く。
・クラブの長さに応じて、ボールを身体から離す。
・クラブの長さに応じて、右足でスタンスの幅と向きを変える。

となっていますが、この図と説明だけでは、何を意味しているのか、さっぱり理解できない方が多いと思います。

私も、モダンゴルフを最初に読んだときには「これで、どうやってまっすぐ飛ばすの?」と全く理解が出来ませんでした。

しかし、その後に別の本で出会った、あるスイング理論によって、疑問は解決しました。

このスイング理論では、ベン・ホーガンのスタンス理論に、

・クラブの最下点は、身体の中心やや左側の同じ位置を通過する。
・インパクトの瞬間は、左かかとやや内側の同じ位置で迎える。

この、最下点とインパクトの2点を変えないように「同じスイングをする」ことが重要である。

と言う点を追加しています。

もう一度、先ほどの図の右側を見ながら説明します。

ウエッジは、青の人形の様にオープンスタンスで立つと、ボール位置は左かかとのやや内側にあると同時に、身体の中心ともほぼ同じ位置になるので、クラブが最下点に来てすぐにインパクト迎えて、ダウンブロー気味に打つ事ができます。

それに対してドライバーは、オレンジの人形の様にクローズドスタンスで立ちますから、ボール位置が身体の中心から、かなり左前方へと離れます。

スイングをすると、クラブの最下点は身体の中心やや左ですので、最下点を過ぎて、更に左上に向かって打ち出す方向へクラブが進んだ後にインパクトを迎えます。

その結果、ドライバーはインサイドからアッパーブローで打つ形になるのです。

つまり、同じスイングで打つためには、ボールの位置とスタンスの幅を変えるだけでなく「スタンスの向き」も同時に変える必要があるのです。

現在、良く見かける「ドライバーとアイアンは同じスイングである」と言う理論のレッスンのほとんどは、このスタンスの向きを変える事に関して言及しているものは、ほとんど有りません。

ベン・ホーガンの理論から派生して、レッスンが繰り返されているうちに、スタンスの向きに関する事が欠落してしまい、劣化してしまった内容に基づく理論のレッスンがほとんどです。

以上の事から、私自身は「スタンスの向きか、それに代わるものについて言及していない」のであれば「ドライバーとアイアンは同じスイングである」と言うレッスン理論は、一切信じない事にしています。

かと言って、スタンスの向きについての言及が有って、理論が正しいとしても、クラブの長さによって身体の向きを変えて同じようにスイングをして、身体の真横ではない狙った方向に飛ばす技が必要なわけですから、考えただけでも頭が混乱しそうです。

いくら理論が正しくても、こんな起用な芸当は、相当練習をしても身につけるのが難しいと思います。

それなら、別のスイングだ!

では、同じであるというスイング理論はあきらめて「ドライバーとアイアンは異なるスイングである」と言う理論はどうでしょうか?

ボールを置く位置や、アッパーブローで打つということに関しては、ほぼ同じですが、

・スウェーをしない。
・右足6割の体重配分。
・身体が開かないように「左側の壁」をつくる。
・頭を残して、ビハインド・ザ・ボールで打つ。
・アッパーブローだからと言って、すくい上げない。

など、こちらの派閥は理論と言うよりも「ドライバーを打つためのコツ」のような経験則がほとんどで、打ち方のワンポイントレッスンの集合体のような印象を受けます。

おまけに内容の大半は、先人の経験者が残した「ゴルフだけでしか通用しない独特の言い回しや用語」ばかりです。

「右足に6割の体重配分」とレッスンを受けたところで、それをどうやって練習場で練習をしましょうか?

Wiiのバランスボードのような機械を持ち込むなら別ですが、現実的にはありえないでしょう。

仮に「右足に6割」が何かの比喩だとしても、もっと他の言い方をしたほうが理解できる人が多いと思います。

こちらの理論の人たちは「独特の言い回しや用語」を使って、果たして何を伝えたいのでしょうか?

それは以下の図を見れば、理解できると思います。

身体の左側にある球をまっすぐ打つには、スイングの弧を左側に持ってくる必要があります。

図の左側の様に、弧を左側に持ってくる際に、頭と身体を一緒に動かしてしまうと、身体の正面に有るボールをレベルブローで打つのとほぼ同じです。

ですが、身体の正面に有るボールを打つのとは違って、残念な問題点があります。

それは、水平方向に回転軸が移動している事です。

水平方向の回転軸が移動すれば、スイングの弧は不安定になります。

加えて、スイングしてクラブが進むのと同じ方向に身体を動かすので、スイング速度が低下します。

この、左側のボールを打とうとする時などに発生する、左側への身体の移動の事をゴルフでは「スウェー」と言います。

・スウェーをしない。

というのは「打つ時に頭と身体を同時に左へ移動させてしまうと、アッパーブローで打てないですし、曲がるわ、飛ばないわで、損をする事ばかりなのですよ。」と言う戒めなのです。

では、スウェーをせずにスイングの弧を左側に移動させる打ち方は有るのでしょうか?

もう一度、先ほどの図の右側を見てみましょう。

その方法の一つが、図の右側にある打ち方です。

上から見ると、頭の位置を両足の中心に残したまま、肩や腰などを左側に移動させて打っているように見えると思います。

・右足6割の体重配分
・頭を残して、ビハインド・ザ・ボールで打つ
・身体が開かないように「左側の壁」をつくる
・アッパーブローだからと言って、すくい上げない

これらは全て、右側の図の打ち方の説明がしたいがために使っている「比喩」なのです。

仮に、右側の図のような打ち方が出来たとすれば、究極の最終形は松山英樹プロのようなスイングに近づくと思います。

但し、松山英樹プロのようなスイングになる為には、回転軸を保つための相当な筋力や体力に加えて、身体の柔軟性や、スイング練習を繰り返すことで身につく、打つ方向を調整する能力も必要になります。

スイングをマスターする為には、相当な練習量はもちろんの事、身体トレーニングも必要になる事でしょう。

この打ち方も、理論としては正しいのですが、簡単に身につけるのは難しいと思います。

結局、どちらが正しいのか?

以上の事を踏まえて、今回の考察から出した、私の結論は、

「どちらの理論も正しいが、スイングをマスターをするのは相当困難である」

という事です。

どちらの理論にせよ、ドライバーの打ち方を習得するためには、相当な量の練習やトレーニングが必要になります。

これが「ゴルフは難しい。特にドライバーは相当、難しい」と言われる所以なのでしょう。

特に「ドライバーとアイアンを同じスイングで打つ」という事は、正しい理論で有ったとしても、その通りに打てる人はかなり器用な人で、私には到底不可能だと思いました。

だとすれば、私にとっては「異なるスイングで打つ」という理論に頼るしか無いのですが、いくらトレーニングを積んでも、年齢的には体力を現状維持するのが精一杯でしょうから、それも難しいのでは無いかと思います。

ですから、結論を言い換えると「結局、どう打てばいいのかわからない」と言うことになってしまいます。

この様に今回の考察では、はっきりとした結論が出せない上に、自身の限界を感じてしまうという残念な事になった反面、新たな発見も有りました。

それは、ツアープロの様なスイングを目指すのではなく、月一ゴルファーがスコア100を切る程度のドライバーで良いと割り切ってしまうのであれば、簡単な打ち方があるという事です。

その打ち方は、

「身体の中心のやや左にボールを置いて、アイアンと同じようにレベルブローでドライバーを打つ」

というものです。

「アッパーブローで打つ」という点を捨ててしまうので、ボールが低いライナーになってしまい、キャリーが少ないという欠点がありますが、両方の理論のいいとこ取りができる良い打ち方であると思います。

「アイアンはうまく打てるのに、ドライバーがスライスばかりで困ったな。どうやって打ってもまったくダメだわ」という方は、是非一度、この打ち方を試してみて下さい。

スポンサーリンク

シェアする

応援する
応援する
にほんブログ村 ゴルフブログへ にほんブログ村 ゴルフブログ ゴルフラウンド日記へ

コメント

  1. そら より:

    そらです
    いつもお世話になってます!
    事後報告で申し訳ありません…
    この記事を引用させていただきました。

    差し支えありましたら削除いたしますので、その際にはご一報くださいませ。

    • massy より:

      こんばんは。いつもご覧頂いてありがとうございます。

      記事の引用やリンクでのご紹介は、著作権法で許諾されている範囲の事ですから、私に断ること無く、ご自由になさっていただければと思います。