練習場で使うボールは安全面や耐久性など様々な理由から飛距離が抑えられていると言われています。
毎回、練習場にはユピテル・スイングトレーナーを持参して推定飛距離などのデータを計測していますが、練習場のボールとコースボールではどれくらい飛距離に差が出るのかすごく興味が有るところです。
WEBで検索して調べてみたのですが「一割程度飛距離が落ちる」などの記述が有るくらいで、実験をした具体的なデータが記載されているようなページは見つけることが出来ませんでした。
ならば、自分で実験してデータを取ってみようと思いました。
どうせなら、練習場のボールだけでなくコースボールもプロが使う最高級のものと、比較的安価で手に入るものでどれだけの差がでるかも合わせて実験したいと思います。
残念ながら自宅付近にはコースボールを打てる練習場が無いので、向かったのはこちらです。
ゴルフスミノエに設置されているゴルフシミュレーターです。
コースをラウンドするモードの他に、練習用モードがあり打ちっぱなし代わりに使用可能です。
試したボールは、
1番 練習場ボール 1 水に浮く溜池の練習場用のボールです。
2番 練習場ボール 2 水に浮かない地上用のボールです。
3番 SRIXON AD333
4番 SRIXON Z-STAR XV
の4種類で、それぞれ各2球ずつ合計8球を持参しました。
このボールを1番の1球目、2番の1球目・・という順序で打ち、8球打ったら次の番手を打ちます。
試したクラブはAW,I7,W1の3種類で、AW->I7->W1の順に打って一周したらAWに戻ります。
各8球を3種類のクラブで打って、1周すると24球。
最低でも5周くらいはして各10球ずつのデータを取りたいと思いましたが、一時間休まずに打っても、4周ちょっとの108球が精一杯でした。
データの集計方法ですが、まずトップしたりダフったりといった、明らかなミスショットのデータを省きます。
そこから、各番手で同じ平均ヘッドスピードになるように中央値付近のデータを3~6球分ピックアップしたものを使って、飛距離などの平均を計算します。
まずはAWのデータがこちら。
若干バラツキはあるものの、ほぼ誤差の範囲と言って良いくらい同じデータになりました。
100Y以下の短い距離なら、ボールによって飛ぶ飛ばないはなさそうです。
次に7番アイアン(I7)のデータがこちら。
練習2が若干低いのですが、ミスショットが何故か練習2に偏ってしまい、うまくデータが取れなかった事が原因なので、練習2が特別飛ばないというわけではありません。
練習1とAD333が同じH/Sで比較しやすいと思いますが、ほぼ同じB/Sになっているので、140Y弱でもボールによって飛ぶ・飛ばないはなさそうです。
最後にドライバー(W1)のデータがこちら。
これくらいの距離になると、若干ですが差が出始めています。
一番飛んでいるのがADD333で、次がZ-STARで、練習2、練習1の順です。
AD333と練習1の飛距離差は4%程度ですが、何球か打って平均を取るなどしないと、普通に打っている分には気づかないと思います。
このように今回の実験では、
・アマチュアゴルファーのスイング(H/S平均40前後、平均ミート率1.35未満)では、ボールによる飛距離の差はほとんど無い。
という結果になりました。
今の工業レベルなら反発係数が普通のボール並みにあって水に浮くボールや、表面の耐久性が強いボールを作ることは可能だと思います。
安全面を考えれば、かなり飛距離が出るような衝撃を与えたら反発しなくなるリミッターのような機能がついたボールを作れば良いわけです。
確かに昔は「練習場のボールは飛ばない」ということが有ったのかも知れません。
コースボールが糸巻きボールで、練習場のボールが「団子」と呼ばれる安価なワンピース構造のものだった時代の話が未だに残っているのでしょうか。
いずれにせよ、今の私の腕前では練習場のボールでラウンドしようがプロが使う高級ボールを使おうが関係ないと言うことだけはわかりました。
ドライバーが250Y以上飛んで、I7のバックスピンが7500くらいの腕前になったら、ボール選びにこだわりたいと思います。